「リフトアップしてあるから車検は無理って言われた」という相談が来ます。車高を上げた車、下げた車、どちらもです。
最初に結論を書きます。断られる理由は「通らないから」ではなく、たいてい「判断と手直しに手間がかかるから」です。この違いが分かると、どこに持っていけばいいかが見えてきます。当店は受けているので、実際に見ているところを書きます。
車高の話はここがごちゃごちゃになりがちです。別の話として分けてください。
| ①手続きの話 | 車検証の記載を変える(構造等変更検査)が必要かどうか。使った部品と、その取り付け方で決まります |
|---|---|
| ②検査の話 | 保安基準に通るかどうか。手続きが要らない場合でも、こちらは必ず見られます |
ネットで「4cmまで」「構造変更が必要」と書かれているのは①の話です。でも実際に断られる原因は、ほとんど②のほうにあります。
サスペンションのスプリング・ショックアブソーバーは「指定部品」という扱いです。指定部品は、取り付け方によって手続きの要否が変わります。
| 簡易的な取付 | 工具を使わず手で外せる | 寸法が変わっても手続き不要 |
|---|---|---|
| 固定的な取付 | ボルト・ナット、両面テープ、接着剤 | 寸法が変わっても手続き不要 |
| 恒久的な取付 | 溶接・リベットで車体と一体 | 決められた範囲を超えたら構造変更が必要 |
ここがよく誤解されています。「全高が4cm以上変わったら構造変更」とよく書かれていますが、この範囲が効いてくるのは溶接・リベットで付けたときだけです。ボルト止めなら、範囲を超えていても記載変更の手続きは要りません。
| 長さ | ±3cm |
|---|---|
| 幅 | ±2cm |
| 高さ | ±4cm |
| 車両重量 | ±100kg(軽自動車は±50kg) |
※ 出典:国土交通省 依命通達(自技第234号・自整第262号)/読みやすいのは愛知県自動車整備振興会「指定部品の取扱いについて」。
ただし実務では、この範囲に収まっているほうが話がもめません。要件ではありませんが、目安として収めておくのは悪くない判断です。
注意が1つ。リフトアップブロック・スペーサーのように、部品によっては指定部品に当たらないものがあります。何を使って上げてあるかで答えが変わるので、ここは現物を見ないと言えません。
手続きが要らなくても、保安基準は関係なく見られます。車高を変えると、ここに影響が出ます。
| ヘッドライトの光軸 | いちばん多い。車高が上がると光が上を向きます。調整で直りますが、調整幅を使い切っていると直りません |
|---|---|
| スピードメーターの誤差 | タイヤの外径を変えていると、メーターの表示と実際の速度がずれます。許容範囲を外れると不合格 |
| 灯火器の高さ | ウインカー・テールランプ・反射器には地上からの高さの基準があります。上げすぎ・下げすぎで外れます |
| 最低地上高 | 9cm以上必要です。下げた車はここで落ちます |
| 全高の上限 | 軽自動車・小型車は2.0m、普通車は3.8mまで |
| はみ出し・突起 | タイヤがフェンダーから出ていないか。外側に向いた部分の形状も見られます |
| 軽自動車の枠 | 全長3,400mm・全幅1,480mmを超えると軽自動車ではなくなります。手続きの範囲とは別の話です |
これが「断られる」の中身です。見るところが増えて、落ちたら手直しが要る。だから受けたがらない店がある、というだけのことです。
軽自動車は全高2.0mの上限が低いので、もとの車高が高い車だと、上げられる幅が小さくなります。
そして全長3,400mm・全幅1,480mmの枠。ここを超えると軽の区分から外れて、税金・車検の扱いが変わります。オーバーフェンダーを付けるときは幅をよく見てください。これは手続きの範囲の話とは無関係で、区分そのものの問題です。
| 1 | 車検証の寸法と、いまの寸法を比べる。長さ・幅・高さが何cm変わっているか |
|---|---|
| 2 | 何で上げて(下げて)あるか調べる。スプリング交換か、ブロックか、溶接が入っているか。これで①の答えが決まります |
| 3 | タイヤのサイズが純正と違うか。違うならメーターの誤差を疑います |
| 4 | 夜に壁の前でライトを当ててみる。明らかに上を向いていたら、光軸は調整が要ります |
前のオーナーが上げた中古車を買った場合、何で上げてあるか分からないことがよくあります。その場合は見せてください。下から見れば分かります。
手を入れてある車を見るのが日常です。下の3台も、全塗装とラプターライナーをやってある車です。
当店は塗ってカスタムした中古車を売っている店なので、カスタムしてある車を見るのが日常です。よそで断られた車も見ています。
車検の費用の考え方は車検が安い店の見分け方に書きました。法定費用(税金・保険)はどこでも同じで、差がつくのは手間賃の部分です。
| バンパーガード・グリルガード | 違法?車検の境目 |
|---|---|
| ルーフキャリア・ルーフボックス | 車検に通る?指定部品 |
| 軽トラの荷台のはみ出し | 前後34cmまで(2022年改正) |
| 色を変えたとき | 全塗装しても車検は通る・届出も不要 |
| カスタム車の車検ぜんぶ | カスタムは車検に通る? |
Q. 2インチのリフトアップは構造変更が必要ですか
A. 何で上げたかで変わります。指定部品をボルト止めで付けているなら、寸法が変わっていても記載変更は要りません。溶接が入っていたり、指定部品でない部品で上げている場合は要ります。現物を見せてください。
Q. ノーマルに戻さないと車検は通りませんか
A. そんなことはありません。通らない項目だけ手を入れれば通ります。全部戻す前に相談してください。
Q. 他県で車検に落ちた車でも見てもらえますか
A. 見ます。落ちた理由(不適合の箇所)が書いてある紙があれば持ってきてください。話が早くなります。
Q. 車高を下げてある車はどうですか
A. 最低地上高9cmと、灯火器の高さ、それにマフラーの位置を見ます。下げた車は上げた車より落ちやすいです。
Q. 検査の基準は地域で違うと聞きました
A. 基準は同じですが、判断の細かいところで差が出ることはあります。だから「前の車検は通ったのに」が起きます。微妙なところは余裕を持たせておくのが安全です。
Q. 買う前に「車検に通る車か」を確認できますか
A. できます。当店が売っている車は、通る状態でお渡ししています。よその車でも、写真と車検証を見せてもらえれば見当は付けられます。
カスタムした車の車検で困っている方へ
車種・年式・やってあること(何cm上げた/下げた、タイヤサイズ、付けているパーツ)を書いて送ってください。通るか・どこを直せば通るかを先にお返しします。断られた理由が分かっていれば、それも書いてください。